こんにちは。雨天続きの毎日ですが後期授業も始まり、メディア・映像学科のある19号館の中は活気にあふれています。夏休み期間中にも、バーベキューをしたり、映像制作をしたり、展示準備をしたりといろいろと活動をしておりました。今日はそのなかの「職場研修」についてご報告します。

職場研修は、学科での学びを社会に活かすことについて具体的に考える機会として、年に1回行っています。今年は、備後地域の2つのデザイン事務所を訪問し、デザインの現場のお話をたくさん伺ってまいりました。今回は、2軒目に伺いました尾道にあります「カメレオンワークス」訪問の様子をご紹介します。カメレオンワークスは尾道駅から歩いて5分ほど、山陽本線の線路のすぐ近くにあります。事務所の半分は、「活版カムパネルラ」(リンクを見ていただくと、尾道の街並みの中にたたずむ事務所の佇まいがとてもよくわかりますね。)という活版印刷体験ができるスペースになっています。そこで、学生たちも初めて(?)の活版印刷に挑戦してみることになりました。↓中央に見える機会が印刷機です。

img_7796

代表の上田さんと活版カムパネルラのスタッフの方に手ほどきを受けつつ、2グループに分かれてまずは版を作っていきます。

img_7791

棚に整理された活字から必要な文字を拾い(小さい文字を拾うのも一苦労!)、

img_7792

組版していきます。活字の向きを間違えないように、隙間ができないように細心の注意を払います。ピンセットでの作業は見ている方も緊張・・・。

img_5433

このようにしてできた版を印刷機に設置し、好きな色のインクを設定して、いざプレス。

img_5427

写真だとわかりにくいかもしれないですが、1枚ずつ紙も設置して手動で加減をとりながら印刷をしていきます。かなり力のいる作業のようでスタッフの方に協力していただきながら、思い思いのカードを複数枚ずつ印刷することができました。出来上がったカードの活字のへこみは今となっては「味」となるわけですが、昔はこのへこみが出ないように、そしてかつきれいに印刷することを目指されていたということを伺い、その時代の技術によって価値のつくられ方が変わってくるのだなということを改めて実感しました。学生の中からは、コピー機の便利さを再確認したという声も。(学生たちから印刷後の写真が届き次第、そちらもアップいたします!)

その後、事務所に移動し、カメレオンワークスを立ち上げた上田さんからお話を伺いました。上田さんがもともとデザイン系の大学を出たわけではなかったこと、国内外を旅しながら伝統的な絵の技法を修得され、東京での大手企業での経験を経て尾道で起業するに至ったことなどについて、いろいろと伺うことができました。学生たちの感想も合わせてお伝えします。

上田さんのお話は放浪していた時期の話がとても面白く、いろんな経験をされていたので、その経験1つ1つが今の仕事に繋がっているんだろうなと思いました。特に、上田さんの書いた仏画には圧倒されました。上田さんの放浪していた時のお話を聞いて、自分も海外とまではいかなくても日本各地を巡ってみたり、色々なことに挑戦してみたりともっと視野を広げていこうと思いました。(1年 Yくん)

学生たちの多くは、上田さんの「放浪記」にとても関心をもったようで、質問の時間も旅のことについてばかりとなりました。笑 こういった経験が仕事に活かされ、地域に活かされていくわけですから、便宜的に考えずにいろんなことに挑戦していくことが大事で、かつ楽しい!ということを実感する時間となったようです。

代表の上田さんのお話から、学んだことは大きく2つある。
・やりたいことは何かを問い続けること。
・自分の作品(デザイン)について、相手を説得させる説明ができること。
 1つ目について、お話だけ聞くと、自由に人生を送ってきたかのように思う。だが、自分のやりたいことをその都度問い直して、旅に出て、得たものをまたキャリアへと生かしていく。自分に対して、無理なく、自然と変化があるように感じた。
2つ目について、これはウェブサイトの制作についてのお話をされていたときのことだが、サイトについて上田さんは、「何のために,誰のために」だけではなく「どう見せたいか」が重要であると話されていた。作るための素材や傾向を常に自分の中に持っておくために、スクラップをしておくというお話もあった。それらを通して、制作過程、あるいは完成されたときに、デザインの説明をすることでコミュニケーションをとる。自分を出すことは重要ではなく、すべては相手とその先の見る人であるということを、改めて大事にしていこうと思った。(4年 Wくん)

img_5441

訪問中は緊張からか静かにしていた学生たちも、表に出るや否や「こういう場所で仕事がしたい!」と、「仕事」というものの選択肢を増やす機会にもなったようです。カメレオンワークス上田さん、お忙しいなか時間を割いていただきまして、本当にありがとうございました!!

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です